「わたしの大好きなひと」・・・泣く。
- ぬいぐるみやたくさんのお土産(棚が増設される)
- 手料理の不格好なケーキ(ゼノーシュの憧れのケーキ)
- 鴇色のドレス(宝石を縫い込んだ刺繍とレースで、とても贅沢な夢のようなドレス。)
※鴇色(ときいろ)
鴇色(ときいろ)は、トキの風切羽の色である。やや紫に近い淡いピンク。黄がちなピンクを想像する人もいる。朱鷺色や桃花鳥色とも表記する。古名は鴇羽色(ときはいろ)。(ウィキペディアより)
グラストさんのあげたものは全部娘さんへの愛そのもの。
贅を凝らしたものから手作りまで。
東洋占術的には「愛」は「財」だそうで、財は愛が形を変えたもの。
できたら喜んでもらえるものが良いし、歪んでないものが良いですね。
くすまもに出てくるディノもネアの欲しそうなものは全部とってくる勢い。
(「魔物が厄介なものを集めてきました」)。
母親の領分である子守唄を歌い、
レースやフリルのドレスを買い漁り、
縫いぐるみも絵本も掻き集めた。
使用人達に白い目で見られながら、この手で料理もした。
なんでも与えてやりたかったのだ。
この世界に存在するどんな怖いものからも、この手で守ってやりたかった。
(「グラスト」より)
でも思い叶わず。
誰か、どうかここに来て。お父様を一人きりにしないであげて。
そうだ。お父様には、あの魔物がいたではないか。あの魔物ならきっと、お父様を一人きりにはしないだろう。毎日隠れて付き纏っているくらいなのだ。
大丈夫。大丈夫よ、お父様。あの魔物が、これからも傍にいてくれるからね。
大事なお父様(グラストさん)をゼノに託した娘さん。
託されたゼノもゼノなりの矜持をもって覚悟してそばにいる。
グラストが望むなら、僕はいくらだって健康でいるし、たくさん長生きする。
墓地で一人泣いていたグラストを一人にしないと誓ったから、多分グラストは僕より先に死ぬ。
僕は多分、グラストが死んでも崩壊まではすることはない。
だけど、もしグラストが、ずっと僕の側にいてくれるのなら、僕も一度だけ言ってみたい。
「わかった。僕、長生きする!グラストを一人ぼっちにもしない。
………だから、グラストもずっと元気で側にいてね」
一度だけの憧れだから。(「赤い実と白いケーキ」より)
墓地で一人泣いていたグラストを一人にしないと誓ったから
魔物は契約者にはどこまでも一途で純粋。
そのへんが「人」に理解されないところに切なさがあるけれど美しいなと思います。
歌乞いと契約した魔物は、この世でただ一人、自分の願いを叶えてくれる相手を見付けた魔物だ。
恩寵を手にした、幸福な魔物。
だから僕たちは、いつも願う。
変わらずに側にいて。僕たちを見捨てないで。何処にも行かないで、ずっと側にいて。どうか、置いて行かないでって。