ジーク・バレットはネアちゃんの初恋の人です。
コミまもの1巻に、すでにビジュアル登場しております。
こう、なんか、かなりお疲れ気味の、美丈夫さんです。
「煙草の煙にたゆたう」と「ジーク・バレット」、両方読むと、これは両想いなんだなぁとわかります。でも、お互いそれは打ち明けないタイプのやつです。
成就はしないし、万が一したとしてもお互い幸せにはなれなさそうなので、もう仕方ないかなぁとしか。これでベストなのかもなぁ。
ジークさんもかなりアレな感じです。
ネアちゃん視点でのジークさん
その人は理知的で思慮深く、あまり笑わない人だった。
穏やかな微笑を常に浮かべてはいても、やはり笑ってはいない人だった。
特定の権力に紐付き、微笑みの後ろ手でナイフを振るえるような、そんな人。
艶のあるマホガニー色のスリーピースのスーツを着こなし、
見惚れる優雅な仕草は、古い血筋の家に生まれた者らしく板についている。
食事の仕方や立ち振る舞いを、こっそりと盗んでは自分のものにした。
考え事をするときに前髪を掻き上げる仕草、硬くて細いペンを好むこと。
密かに苦手に違いない野菜や、腕まくりをする際の丁寧な折り目のつけ方。
どんな音楽を好み、どんな気温を好むのか。
日曜のミサには必ず、両親や妹達と出席していること。
私はまるで、あなたのコレクター。
少しずつ拾い上げたかけらを並べて、その奥行きを思案している。
恋をしたのだと気付いたのは、出会ってから半年後の秋のことだった。
ジーク視点でのネアちゃん
初めて彼女に気付いたのは、雨の降る秋の夜だった。
店の隅で、見慣れない少女がグラスを傾けている。
誰かの下らない冗談に小さく微笑み、小さく頷く。
凛とした背筋と優雅な手足は、むせ返るような香りの造花の中に、一頭の雌鹿が迷い込んだようだった。
でも彼女は、普通の女なのだ。
自分が手に入れるにはあまりにもお粗末だ。
この月並みな舞台で自分が演じるのは、そんな役どころではない。
けれども、もし、他の誰でもないつまらない男として彼女に出会えたのなら、あの肌に触れてみただろうか。
そうしたら、彼女と共にどこか遠くへ行けたかもしれないのに。
彼女を笑わせ、自分も笑って、吐き気のするような作り物の会話などではなく、何の意味もない心からの会話を、自由に交わすのかもしれない。
ジークさん的には、立場上無理だけど「普通」に憧れてるような。
殺されるとわかっていて、惚れ惚れと振り下ろされるナイフを見ていた。
理由など特にない。
破滅しても構わないと思わせるだけの特別さもなく、ただ目が逸らせなかっただけだ。
息を詰めて、深く焦がれてその瞬間を待っていた。
ナイフは比喩です。
「深く焦がれて」。
終わらせてくれるなら君(ネアちゃん)が良い。君でよかった。という感じ。
ジーク、あなた、疲れてるのよ。と言いたくなるほど疲れる日々を送ってる彼。
ハッピーエンドというわけではないけれども、納得の行く逝き方だった様子。
ジークさんは、この後も度々出てきますね(お話の中に)・・・
かなり、モテてモテてな人物だけど、すっごく生きるのに疲れてる感じの方です。
ネアちゃんに引導を渡されて、本望だった・・・かも。
「fake face dance music」という曲が、なんとなくジークさんのイメージソングです。