くすまもな日々

「薬の魔物シリーズ」個別包装仕様のファンのブログ

専門家の意見

誘惑と秘密」より。

この回は多分人気がある(?!)

高位の魔物たち(ディノ除く)とネアちゃんのコント回。

何をやってるんだ君たちは・・・回。

「確か、そういう趣味の持ち主は、縛られると嬉しいみたいだから、どこかに拘束しておけばそれで満足するんじゃないかな」

「……………ウィリアムさん、それでは、ご褒美の段階が上がるだけです」

「………確かにそうだな。でも君は女性だし、手が付けられなくなったときの為に、刺激しないよう円滑に無効化出来る方法として覚えておいた方がいいかも知れない」

「……どう縛ればいいのでしょう?確か、専門的なお作法がありましたよね?私は、缶を投擲用に縄に固定する方法と、木と木の間に縄を張る結び方しか知りません」

「なぜそれを覚えたのかがすごく気になるが、本題としては俺も知らないな……」

「長く生きていらっしゃる中で、縛られたり縛ったりしたことはないのですか?」

「縛ったことはあるけれど、その手の縛り方じゃないな。行為の最中に縄を使ったことはさすがにない」

「……ごめんなさい。魔物さんを過大評価していました。皆さんが手慣れていらっしゃる訳でもないですものね」

「……………その言葉に傷付くのは何でだろうな」

早くも八方塞りになった二人は、ウィリアムの付き添いで、後日、専門家の意見を聞きに行くことになったのだ。

当日。ディノにはご主人様鍛錬として講義を聞きに行くのだと説明し、拗ねる魔物の巣を後にしたネアは、休日とは言え、上司に出かける旨を報告してから出ることにした。

上記がいきさつ。

ウィリアムさんがネアちゃんの保護者(ヒルドさん)に、外に連れ出しても良いか了承を得るところが、リアルに想像できて楽しかったです。

どこまでも好青年対応でリーエンベルクの前に迎えに来てくれたウィリアムは、通信妖精のお見送りという関門をまず突破することになる。

本日の終焉の魔物

  • 栗色の髪に、流行りの黒色のトレンチコートのような形のコートを羽織っている
  • 上手く高位の美貌を中和する擬態を施している。

飾り気のない平均的な服装に惑わされて、一瞬この程度の男性なら珍しくはないように見えてしまうのだから、やはり、周辺調整に長けていると言わざるを得ない。

そんなオシャレはとても上級者だと思う。

ウィリアムは完璧だった。

止めるエーダリアを振り切って、門のところまで見送りに来たヒルドを、簡潔な言葉と爽やかな微笑みで、渋々ながらも一発で頷かせてしまったのだ。

本日のネアちゃん

  • 本日のネアは防御的な付与効果もあるラムネルのコートを着ていた。
  • その下のドレスは、詰襟のブラウスにスカラップレースのクラヴァットの乗馬服や騎士服めいたかっちりとしたデザインのもの。
  • ディノが、どこかの仕立な誰かを急かして仕立ててくれた、少し涼やかな印象だがよく見ると女性的でお洒落なもの
  • すらりとした印象だが、上に重ねるジャケットがゆったりしたパフスリーブだったり、ハイウエストのスカートがウィーム風の飾り帯を模したバックリボンになっていたりと、女性らしい優雅さもある。

「ああ。優雅だけれど凛とした美しさがあっていいと思う。ネアらしい装いだな」

(by終焉の魔物)

ネアとしてはお気に入りのドレスを見せようとしたのではなく、装いが向かう先に相応しいかどうかを確かめる為にコートの前を開いたのだが、爽やかに微笑んだウィリアムはそんなことを言うではないか。

思わず真顔で見上げてしまうと、ん?と眉を持ち上げたので、どうやら素だったようだ。

(アルテアさんとは違う意味で、女性関係に問題を抱えていそうなタイプ!)

わかる。

そしてその後

「難易度的に初心者にも挑みやすいような舞台も気になりますが、症状の緩和策なども聞けると有難いので、ここはやはり個人講義でしょうか……」

「よし。そうしよう」

半刻後。

ウィリアムが調べ上げていた専門家とやらの家を訪ねた二人は、専門家である赤い羽の美しく妖艶な美女妖精の屋敷を、這々の体で逃げ出して来ることになった。

終焉の魔物は、途中までは耐えた。

目に完全に光が入ってなかったので心は死んでいたかもしれないが、年長者の責務として暫くは我慢してくれた。

けれども、途中で声小さく呻いてから膝から床に崩れ落ち、ネアを抱えて屋敷から逃走したのである。

「女王様は、置き去りにされてお怒りでしょうか……」

「安心してくれ。記憶を消してきた」

「私の記憶も消して欲しいです」

「一人にしないでくれ……

縛ったり縛られたりな上級者向けの講義を逃げ出したのらしい。

「特に深い理由はないのですが、妖精さんよりも魔物の方の方が、そちらの方面はお得意なのでは?」

「確かに魔物は快楽に奔放とされるが、より淫奔なのは一部の妖精なんだ」

「そうなのですね。妖精にはどこか清廉な印象を持っていたのですが、奥が深いです」

「上手く説明出来ないのですが、ディノは光属性の変態です。対してヒルドさんは、深い闇を感じる変態さんです」

「そちらの事象にも踏み込んでいるのはなぜなんだ」

「……ヒルドさんはそれ以外ではとても大切な隣人ですので、不意にご褒美を要求されると、断り切れないことがあります」

「頼むから、断る勇気を持ってくれ」

ディノが光属性の変態さん。

ヒルドさんがいつの間にか、闇属性の変態さんの系統にされててお労しい。

・・・というわけで続く・・・