ウィームは冬を司る都市
イブメリアを越せば、新年の魔物がどうこうならない限りは季節の巻き戻しはない
シュタルトの薔薇塩と香草で焼いたお待ちかねのチキン
- 前回のクラヴィスの日にも食べた
- 飴色にぱりっと焼かれた皮目が美味しい。
- 美味しさを知ってしまったネアは、鶏肉の皮の部分を食べることを好まないヒルドの切り分けを狙って、エーダリアと激しく牽制しあった。
- 幸い、二度目である今回は、前回の様子を見ていたヒルドが事前に給仕妖精に一言伝えておいてくれたお蔭で、ネアの全面勝利。
- ヒルドの分は、切り分け直後からネアの取り皿に盛られていた。
- 切り分けられたチキンの隣に皮が山盛りの異様な光景だが、ネアは目を輝かせる。
「…………ヒルド」
がっくりと項垂れたエーダリアに、ヒルドは澄ました顔でカトラリーを操る。
ネアと目が合うと微笑んで頷いてくれた。
「エーダリア様、ご自身の年齢をお考えください。女性の食べ物を奪ってはいけませんよ」
「前回も、結局ネアが食べただろう!」
「…………エーダリア様」
ネアちゃんとエーダリア様のやりとりは、まるで兄妹のようですな。
そして薔薇塩と香草で焼いたチキンは絶対美味しいやつです。
ディノも自分の分をくれようとするのだが、こちらは嫌いで食べないわけではないので、ネアは受け取らないようにしている。
ネアはここが一番美味しいと思っているので、是非に味わって欲しい。
ディノは食べ物を分け合うのが大好きっこ。
本日のエーダリア様
- 祝祭の儀式用のガレンエンガディンの正式な正装をしている。
- 漆黒で統一した貴族的な盛装にガレンエンガディンのローブを羽織るそうで、食事中の今はローブを脱いではいるものの、目の覚めるような艶やかさ。
- 前回のクラヴィスの夜には、エーダリアは白のローブ姿だった。
- ふくよかな黒色の生地には、術式と祝福を込めた刺繍がこれでもかと施されていた。
- 同系色でまとめられ派手過ぎないからこそ、どれだけの贅が尽くされているのかが感じ取れてしまう。
- 黒系統の宝石もふんだんに散りばめられ、雪を落とし始めた曇天の昼の光にも上品にきらりと光る。
黒色でも、なんと豪華な漆黒の統一か。
術式と祝福を込めた刺繍がふんだんに施されている装い。
「エーダリア様。今日の装いは、とてもお似合いですね」
「なっ………、褒めても皮はやらんぞ」
「何という言いがかりでしょう!好きで食べていらっしゃる方から奪ったりはしませんよ。純粋に、お似合いになるなぁと思ったから口にしただけです」
「………そ、そうか」
その後の会話がちょっと残念だけど微笑ましいです。
その後、何故かエーダリアが異様に照れたので、ヒルドだけではなくゼノーシュまで面倒臭そうな顔になってしまった。
リーエンベルクの大きな飾り木
- 大きな飾り木の根元には様々な妖精達が集まっている。
- 魔術の潤沢な土地に飾られた飾り木には上質な魔術が添うらしく、この時期に限って、害のない小さな妖精達や、祝祭にまつわる魔物達であれば、飾り木のところまで入れるようになっている。
- 合わせて一部の許可証を持つ者達も広場までは出入り可能となっている為、時折、見事な羽を持つ妖精や、漆黒のローブ姿の魔術師など、見たことのないような者達の姿が見えることもある。
- 王宮の門にかけられた魔術が特殊だということから、飾り木の周囲を特別な結界で覆い、その中に転移で入り込むことが部分的に許可されているという独特のセキュリティ。
- 誰かが来る度に門周りの警備に兵を割く必要もなく、効率的でもあるのかもしれない。
- 逆に言えば、そんな招き方をしても警備に支障が出ないような守護がこの土地にはある。
リーエンベルクには人が少ない
- かつて一国の王宮であった土地を守るのは、ほとんどが魔術の叡智。
- 実際に勤める人員がどれだけいるのか、ネアが目にしただけでは五十人にも満たない。
- それで領主館という場所の管理や運営が出来てしまうのだから、魔術の万能さには驚くしかない。
ネアちゃんの持っている衣類の一部
- 淡い水色のドレス。
- 儀礼用に作ってもらった白いケープとお揃いの手袋
- ラムネルのコート
気を抜くとコートが増えるシステム(ディノによる)
- 淡い水色なら、白いケープの余りの毛皮で作った白いコートもある
- 水竜の毛皮だから、ラムネルと同じくらい防寒には優れている
- 水色が好きなら、雪狐の毛皮のコートもある
なんとも、羨ましい。
寒いウィームはコートは何枚あってもいいのだろなぁ。
沖縄はコート必要な日数はすごく少ないから、1着、軽めのがあれば凌げるので、コートのオシャレはちょっと憧れます。