「ジゼルと子狐」より
くすまもキャラクター関連
ジゼルの元に来た小狐
真夜中にガレンエーベルハントの魔術師より持ち込まれた。
- 密猟者に母と兄妹達を殺されたらしく、他国に密輸されようとしていたところを保護された。
- 手のひら程の毛玉
- 真っ白な毛玉は体がずれていきそうなくらいに激しく震えている
- 子狐の姿をした氷の精霊
- 純白の毛並みを見るに素質は十分あるのだが、まだ幼い。
- せいぜい、生後半年程。
- 子狐は真っ黒な瞳に涙を浮かべ先程よりも激しく震えていた。
- 鳴き潰れたようなか細い声で鳴き続けている。
- この鳴き方は雪原で、氷の精霊の子供達が母親を求めて鳴く声。
- そして声の枯れ方を見るに、この子供はもう随分と長く鳴き続けていたのだろう。
- まだ震えており、潰れそうな声で鳴いている。
- 保護した魔術師が、不憫に思ったのも頷ける話。
- 肉体というよりも、心が死にかけている。
- まるで緩慢な死を目指すがごとく、母親を呼び続けている。
- 鳴き潰れそうな声は、どこか狂気的ながさつきを帯び、聞くものを不快にする程になってきていた。
- 本来、氷の精霊はその歌声で旅人を誘い殺してしまう程の美しい声の持ち主。
- この子狐は、立派に育てば美しい精霊になる。
- 身を切るような寒さを好む種族。
- 精霊というものは、複雑な心の織りを持て余し、容易く壊れてしまう程に感傷的な種族。
ジゼル
- 雪竜は、冬に住まう者の庇護者
- 竜は元々、守るということを本能にする生き物
好きなセリフ、言葉など
「……世界は美しいだろう。恐ろしく、悲しいこともあるが、不思議なものだ。こうして空から見下ろせば小さなものよ。ただ美しいだけなのだ」
当たり前のように通じていた会話が失われ、自分に属するものがいなくなる。
他の誰でも駄目なのだ。
愛する者でなければ、意味がない。
愛情というものは、そう容易く手に入れられる恩寵ではないのだから。
小狐を溺愛するジゼル
「王、朝のミサには出られないのですか?」
「構わんさ。欠席の旨はガレンに伝達してある。それよりも見ろ、とうとう膝の上で眠ったぞ!」
あの夜の散歩から帰ってきてから、子狐はぴたりと悲鳴を上げなくなった。
その代わりに小さな手足で懸命に付いて回り、置いていかれそうになるとぴいぴい鳴くのだ。
ひと時も目を離せないらしく、引き剥がそうとすると一人前にも唸って抵抗する。
仕方なく肩に乗せて仕事をしていたが、夜明け前に居眠りをして転がり落ちてきたので、膝の上に乗せてやったところ、何度かくるくると歩き回りながら収まりのいい位置を探し、丸くなって眠ってしまった。
よく見れば、片足の爪をこちらの服に引っ掛けている。
置いていかれないように、子供なりに対策をしている様子だ。
「王、少し雪の勢いを弱めないと、領主から苦情が来ますよ?」
そう言われて窓の外を見ると、調整したものよりも遥かに激しい雪が吹いていた。
慌てて雪の勢いを収めようとしたその時、子狐が寝返りを打って腹部を出した。
「………吹雪になりましたね」
「……暫くは無理そうだな」
感想
孤独なジゼル(雪竜)と孤独な小狐(氷の精霊)の可愛いコンビ(今の所)爆誕。
こんなに可愛い子に懐かれればそりゃあデレデレにもなりますね。
とうとう膝の上で眠ったぞ!!だなんて、もう立ち上がれませんな。
(私も猫さまが膝で眠ったら、眠りを妨げることはできない)
ジゼルの心模様が雪の勢いに影響するところは微笑ましいです。