「薔薇とオルゴール」より。
「何処もかしこも混み合ってるだろう。隔離空間にでも入ろうぜ」
「ディノ、アルテアさんは、なぜに一緒に来るつもりなのでしょう?」
「ネア、イブメリアだからな、好きなものを買ってやるぞ?」
「……む。一時間くらいなら」
「ご主人様?!」
「…………一時間」
の、内容。
くすまもの「衣」&キャラクター関連
アルテアさん
- 今日はダリルと並ぶ必要がないからか、彼らしい漆黒の燕尾服。
- 雪が降る中、彼が羽織っているのはスエードのような薄手の素材のコート。
- ステッチには紫がかった黒い糸を使っており、背面のセンター内側にプリーツを取ったロングコートが、白い手袋に鮮やかに映える。
- 滅多に出回らない漆黒の氷竜の皮は真冬でも温かい。
- 鮮やかな赤紫の瞳。
- 良く見ればアルテアの瞳にも様々な色彩が散らばっている。
- 手袋を外した指先の爪は白い。
アイザックさん
- ふわりと空気が薫ったとしか言いようのない不思議な気配
- 背の高い男
- ひたりと暗いばかりのモノトーンの闇という印象の男
- 腰までの長い黒髪に、神経質そうな銀縁の眼鏡。
- 長い黒髪は揺れることもなく、ぴっちりと背中に張り付いている。
- 細身の漆黒のスーツに、美貌の域に入る程に端正だがどこか影の薄い容貌。
- アルテアと同じ、白い手袋に包まれた手に漆黒の装い。
- アルテアが纏うような艶やかな黒ではなく、無機質に黒い。
- 親しみやすいくらいに平均的な美貌なのに、まったく内側が読めないところが得体が知れなくてネアの苦手なタイプ。
- 微笑みを浮かべても、それがすべて作り物に見える。
- 店外でこの店員を見たら、是非に関わらないようにしよう(byネア)
アルテアさんとアイザックさん
- ある程度の資産の運用もアイザックさんに任せている。
- アルテアさんが気に入りそうなものは、勝手にそこから仕入れていたりもする
- もはや、お店とお客というよりも深い関係(ネア感想)
アクス商会
- リノアールの向いにある、上等な蒸留酒を結晶化させたような、茶褐色半透明の石材で建てられた瀟洒な店
- この石材は非常に硬質な琥珀の一種。
- 本来の琥珀は柔らかいものだが、これは建材に出来るぐらいに硬い。
- その琥珀は高価でもあるので、店の外観だけで相応しくないお客を遠のかせる威力があった。
- そもそも紹介状のないお客は入れない
- 所謂ところの高級テーラーに見えるのだが、よく見ると所々に、雑貨や宝石類も並べられている。
- 一階は、飾りで紳士もの
- 一見客からすれば、ここはただの高級紳士服店
- アクス商会は武器から政敵の首まで、注文すればどんなものでも揃う。
- アイザックさんのお店。
ネアたちが通された部屋
- 上客用のサロンのようなところ
- 深い琥珀色と、鮮やかな深緑を基調にしており、アクセントで深紅の薔薇が飾られている。
- みっしりとクリスタルを詰め込んだシャンデリアは、小ぶりながら使っているクリスタルの量が半端ではない。
- きらきらと光を散乱させる透明度の高さに、もしや特殊な宝石の類なのだろうかと感嘆する。
- 贅沢な織模様の天鵞絨張りのソファに、螺鈿細工の見事な机。
- 王宮の贅沢さとは違う、商人としての目で選び抜かれたもの達の素晴らしさだ。
- 部屋のドアノブにダイヤルがついてた
- 金庫を開けるようにカチリと音を立ててから九番と浮かび上がった扉を開けた
- 部屋自体が商品庫のような造りになっているのだろうか(byネア)。
アルテアさんの「9番」の箱
- 箱の中の21品はどれも一級の美術品
- 月光とオーロラの結晶石を、緻密な聖堂の形に彫り上げ、その他の希少な宝石を薄く削って螺鈿細工にしたもの。
- 拳大の大きさの真紅の宝石は、その中で鮮やかなオレンジ色の炎が燃えており、宝石の内側の結晶がとろりと溶けている。
- ぱちぱちと青白い火花まで上がるが、その全ては宝石の内側のことで、手に取ってもひんやりしていた。
- 見ているだけで複雑に色味が波打ち変わってゆく不思議な織物には、見事な刺繍と宝石の装飾。
ネアの気に入ったオルゴール
- 文庫本サイズの四角い金色のオルゴール。
- シャンパンのような淡い淡い金色の透明な結晶石の小さな箱で、両手で持ち上げられるくらいの大きさ。
- 見事な彫刻を施した霧の結晶で内箱があり、黄金の石はその彫刻を透かして見せる。
- 箱を開くとその中には、夜の霧を這わせた満開の庭園があった。
- そう表現するしかないくらい、ミニチュアの見事な花々が咲き乱れている。
- 花には香りがあり、触れてはいないがほとんど本物の花と変わりなく見える。
- その真ん中に、真紅の薔薇が咲いていた。
- 花びらをぎっしり詰めた、クラシックなカップ咲きの薔薇。
- 濃密な闇色の真紅とでも称するべき赤さは、しっとりと深くどこまでも麗しい。
- 蓋を開けると、複雑で美しいオルゴールが鳴り始め、その薔薇が蕾からほころび、大輪の花を咲かせるまでが繰り返される。
プレゼントされたオルゴールと葡萄酒
- 漆黒の革張りの箱に入り、薄い青紫と孔雀色の薄紙に包まれたオルゴール
- グロス加工をした葡萄酒色の紙袋で渡され、持ち手に巻かれた琥珀色のリボンが上品。
- アルテアが追加で注文していた葡萄酒は、琥珀色の半透明の紙袋に、木箱ごと、緩衝剤代わりの白い薔薇の花と一緒に詰められている。
- 上等な蝋紙のような琥珀の袋は、光の加減でかすかにきらきらと光りなんとも美しい。
- 持ち手の部分だけが柔らかな山羊革になっていて、この上なく贅沢な包装。
アクス商会のイブメリア限定、薔薇のシュプリ
- 見た目はロゼシャンパンみたい
- 期待を十二分に超えてくる美味しさ。
- アイザックさんが甘党だから、毎回甘口が多い
好きなセリフなど
「イブメリア当日に足を運ぶのは初めてだな」
少し複雑そうな顔で、アルテアが呟く。
「確かに上得意とは言え、祝祭当日に予定なさげに買い物しているのを見られるのは複雑ですね」
「お前、わざと言葉で説明しただろう?」
「………すごい、」
びっくりして魅入ってしまったネアの隣で、小さく笑う気配がある。
「アイザック、これにするぞ」
「……かしこまりました。お包みしますので、一度こちらにいただけますか?」
「それと、イブメリア用の貴腐葡萄酒があっただろう?一番いい年のを出してくれ」
「…………何やら、私は珍しい場面に立ち会っているようですね」
「稀有なものなのは確かだ。だから、滅多にないこともするだろうよ」
「成る程」
「………アルテアさん、あれはもの凄く高価なのでは?」
高位の魔物の価値観には、ディノでだいぶ免疫がついているものの、それでもあのオルゴールがとびきり貴重であることは、ネアでもわかる。
あの品物達は、その中から好きなものを選んでいいと言って見せて貰ったのだ。
いくら前言撤回は不名誉とは言え、こんな風にいきなりプレゼントを貰うばかりなのは気が引けると思いかけて、ネアはふと、そう言えば殺されかけたりと散々だったような記憶が蘇った。
「気にしなくていい。元々、この部屋の商品は俺が取り置きしているものだ」
「と言うことは、アルテアさんが欲しかったものなのではないですか?」
「勿論気に入ったものを取り置きしているが、その全部を自分で使うわけじゃないからな」
「大丈夫だよ、ネア。もうアルテアの屋敷には入りきらないから」
「………もしかすると、お買い物に歯止めが効かなくなる気質の人…」
「人間と比較するな。総じて生きている年数が違うんだ」
「そう言われてみれば、そうですね。アルテアさんは、ご長寿の方でした」
「………おい、言い方」
「重いだろう。連れが持つのが普通だが、シルハーンに持たせるのも不安しかないからな」
「ディノはがさつではありませんし、こんな素敵なものをどうこうする悪い奴でもありませんよ?」
「さて、どうだろう」
くすまもの世界観
顔見知りの魔物や妖精が何かを贈ってくれた場合は、出来る限り断るな(byエーダリア)
祝福や守護だけでなく、それが品物などであったとしても、一部の魔物や妖精達は、お気に入りの者に何かを与えるという行為をとても好む。
幾つか難点があり、それが決して良い品物だけとは限らないということと、ギフトを受け取ることによってその人外者との間に一種の繋がりが生まれてしまうことが懸念される。
今回は相手がアルテアだったので、大聖堂を出る前にこっそりディノに確認しておいた。
特に害はないので、好きなものを貰っておくといいという返答だったので、有難く貰うことにした。
感想
アルテアさんは趣味が良い。
夜霧を這わせた満開の庭園が入っている薔薇のオルゴール。
庭園入りってだけでも素敵なのに、夜霧と共にある薔薇の庭園って・・・素敵過ぎる!
そして葡萄酒の緩衝材代わりに入っているのが白薔薇とか!豪華!
アイザックさんが甘党なのは、ずるい!(何故か)。